きみはだいすきなりんごをたべて
のこったたねをおうちの裏の庭にうめました
たねは芽をだし 樹になって
7本の枝がのび 7つの花が散ったあと
7つのりんごがなりました
でも そのうちのひとつのりんごは空の色したりんご
きみは空色りんごの実をたべて
そのたねを広い草原にうめました
樹はすくすくのびて 花が咲き
また7つ 空色りんごがなったはず
ううん ひとつのりんごは黄色だった
黄色いりんごはすっぱくて
おかあさんになったきみは こどもをだいて
たねをうめに森にいきました
樹はゆっくり静かにのびて
森の中で 7つのりんごがなりました
そうしてうまれた ひとつのりんごはうす紫
きみはうす紫のりんごのたねを
夜 海のそばにうめました
風に吹かれつづけたその樹には
たくさん薄紫のりんごがなったけど
ひとつは 夜空で輝く黄金だった
黄金のたねを
きみはだいて 見知らぬ土地へいきました
そうして
曲がったままもどらぬ腰で
ゆっくり埋めた
だれにも知られず樹はのびて
そうして実ったのは
6つの赤いりんご
ひとつたりない。
- そうでは なくて
ちゃんとなってた 見えないりんごが
それじゃ誰にもわからない。
- けど ちがう
きみには見えてた
透明な体で腕を伸ばして
透明なりんごを両手で包んで
座りごこちよさそうな 小さな雲の上で
きみはまるかじりしていた
娘がまだ幼稚園に通っていた頃でしょうか ジュニアパイロットで一人で
長崎の祖母の地に行きました 那覇空港で帰りを待つ間 することもないので
こんな詩を考えていました いつか「絵本」にしようと思いながら
20年以上過ぎても作っていません