kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「全く剃れないカミソリ」

このホテルには2つの出入り口があり 2種類のカギを持たされる

1つは午前8時以降夕方までの「昼間用」

もう一つは 真夜中だろうが 朝方だろが何時でも入れる「夜中用」

午前2時半に目が覚めてしまい ホテル前の灰皿に向かい吸っていると

黒い超ミニで素足でハイヒールでマスク姿の20代と思しき女性が 夜間用出口の前でカバンの中を5分以上ゴソゴソやっていた 「鍵を探している」と気づかない鈍い私は「ライターでも必要?」と尋ね無視された 彼女は何とか見つけ 疲れた様子であったがカツカツとホテルに入っていた ほかにも朝方入ってきた 男性も女性もいたので 「客」以外に 月極とかでここで暮らしている女性もいるのがわかってきた

そらそうだわなぁ。直ぐ近くで安くて ホテルスタッフは「よくわかっている」

なんかマトモなリゾートホテルに泊まるより 色々見えて面白かった

夜中インド ムンバイ(ボンベイ)に着いた時 宿が見つからず 何とか見つけたボロボロの宿 脚のついた「板」に汚れた薄い敷物が敷かれていたが 上にかけるものがないから店の婆さんに「ギブミー ブランケット」と頼んだら 持ってきたのは「ノミだらけのブランケット」で痒くなった

そんな昔の思い出を思い起こさせるほど このホテルもなかなかスゴイ

温水便座のスイッチがコントローラーなんだが 途中で表示が真っ白になった 電池切れ かと思って1階のフロントにいったが コントローラーの裏の蓋がセロハンテープで止めてあり 開けるのも一苦労 電池を取り替えたら使えた

浴室の照明が点いたり消えたり…まともに使えない これは電球を回し調整しなんとかだましだまし使った

しかし極めつけはロビーでセルフサービスで持って行ったT字のカミソリである

パック袋に入っていたから「新品」のはずだが まったく切れないし 剃れない

20分奮闘して何とか大体剃ったが 顎の下とか全然キレイになってない

そこで私は考えた「コレ。再生品じゃね?」または「不良品でタダ同然」

その切れ味のものすごい悪さに感心してしまった

 

日本は便利な国であり 

「便利が当たり前」だと思っている節がある

それがコンビニであり 温水便座であり コインランドリーであり アレであり コレ…

だから「不便だとショックを受ける」

切れないカミソリに驚き 夜中の3時に店の前でずっとうんこ座りしている客引きの人を見て 便利にも合理的にも見えない

 

「便利は楽である」

 

だが「楽」であることと幸福や充実感とかは関係がない ポルシェを運転し続けることは「脚が萎えてしまう」ことでもあり 「楽」を享受すればするほど 人は考えず 工夫ず 運動せず 鈍っていく…

「便利」「楽」は善きことか?    どうだか… 他の国は日本ほど便利じゃない

 

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