kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「歩く死人」

2018年05月28日記事

どうも 以前書いたかどうかわからなくなるのは 年齢のせいとご勘弁願いたい

またアニメの話からだが「Black Lagoon」というピカレスク(悪党)アニメを思い出していた

まず海岸に接する「無法の街」ロアナプラ

海からの入り口は「顔を削り取られた摩崖仏」が出迎えてくれ

大きな橋の入口には 輪の形の首吊り縄がぶら下がっている

現実にはカンボジアのどこかと思しきところ


その街でのバーで飲む連中は大概拳銃をぶら下げており 

ちょっとした諍いも殺し合いになるし 銃撃戦になる

夜ともなれば 売春婦が立ち 薬の売買が行われ どこかで銃声が聞こえる

そこで生きていくためには それ相応の肝っ玉と 殺しのテクニックが必要となる

騙される 奪われるは日常

そんな街を実質支配しているのは 警察ではなく複数のマフィア

その中でも特に幅を利かせているのは「中国マフィア」と「ロシアンマフィア」

主人公たち「運び屋」はどちらのマフィアともうまく付き合い商売している

運び屋の中で用心棒役を務めるのが 中国系の若い娘 レヴィ 2丁拳銃の使い手

容赦なく相手を撃ち殺しまくる

彼女に言わせると 相手は人ではなく「看板」らしく そう思って撃てと言うセリフがある

そして 人を看板程度にしか思わない彼女の公平さは・・・もしくは哲学は

「自分達は歩く死人」だという諦観

生きていると感じると 惜しむ 躊躇する それが動きを鈍らせる そして敵に殺られる

 

皆さんはインドやバングラデュ どこでもいいが旧市街を歩いたことがあるだろうか・・・

インドで言えば ニューデリーではなく オールドデリー

バングラデシュでは オールドダッカ 

私はスタッフと時折オールドダッカに買い付けに行き

そこで 7、8歳程度の真っ赤な口紅をつけた売春婦を見た と以前の記事で書いた

旧市街とロアナプラの風景は似ている

通常 外国人が見ることができない裏の顔がそこにはある


今考えているのは もし今の私なら そこを一人で歩けるだろうか・・・ということ


当時は歩けなかった スタッフに自然に守られていたのだと思う

一人で歩けば身ぐるみはがされていた気がする

けれど今ならそれもいいと思うかもしれないし 「藪蛇」と躊躇するかも知れない


2年のバングラデシュ生活の後 私は故郷に戻り母親と再会したが その時言われた言葉は

「おまえ。野良犬みたいな顔している。」だった

確かに用向きで 外国人居住区である高級住宅街にいくと たまに日本人を見た

大使館関係か 国際援助関係か 企業の人なのかはしらないが

見た瞬間 中国人でも 韓国人でもなく 日本人だとわかった その顔つきで

日本人は 揃って無警戒な羊のような目をしてた 動物で言えば食われるものの目

かといって 私自身野良犬になりきれたかと言えばウソで 

やっぱり臆病者の若造でしかなかったと 今となれば思う

旧市街を一人で歩き 奥深くに足を踏み込み 直接目の前の現実と向き合わなければ

所詮 「羊日本人」の仲間だろうと 今は思う

「歩く死人」と自分を感じる程になれば 一人で歩くのは造作もない

kei