kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「nm(ナノメートル)の大戦争」

半導体」 

日本語で書けばたった3文字のこの言葉が 世界人類にとんでもない影響をもたらす。

大国と言われている国々が数千億 数十兆の予算を投下し戦っている

その理由は「半導体」こそが その国の未来を左右するからだ

 

向こう約1年間のウクライナとロシアの戦いを想起してみてほしい

圧倒的に軍事力に勝るロシアが 旗艦モスクワを撃沈され 司令官30名以上失った

殺された司令官は「流れ弾」に当たったのではない ピンポイントで打ち抜かれた

だからロシアは「ミサイルの雨を無差別に降らせることができる」

それに対しウクライナは「精密に司令官 弾薬庫 補給基地を攻撃できる」

全く異なる戦い方をしていたことになる

どうしてこうなったのか…「アメリカ」がウクライナを支援したからである

 

半導体」とはONとOFFのスイッチ「0と1」という2進法の演算を行う「トランジスター」と呼べるもの

その集合体をCPU(中央演算回路)と呼び 現在では10億以上のトランジスターを内蔵している

何故ロシアのミサイルが当たらないのか? どうやらロシアのICテクノロジーは「PlayStaition2程度」のレベルらしく これではウクライナに敵わない 集積率が低すぎる

ここで「nm(ナノメートル)」という単位について調べると…

ナノ(nano, 記号: n)は国際単位系 (SI) におけるSI接頭語の一つで、以下のように、基礎となる単位の 10−9倍(= 十億分の一、0.000000001 倍)の量であることを示す。

1 ナノメートル = 0.000000001 メートル ⇒10億分の1m

1 ナノ秒 = 0.000000001 秒  ⇒10億分の1秒

という「極小世界」だが これが向こう10年 世界の動向を左右すると言っていい

CPUの核となるICチップの基盤は シリコンウエハーという大体30cm円形の版に 1000個程キチキチに詰め込まれプリントされて生産される 製作段階としては

①設計(回路を考え出す)

②前工程(設計を基にシリコンにプリントする)

③後工程/パッケージ(チップを小分けし 樹脂などで一つ一つ封入する)

現在ロシアよりもアメリカに怖れられている「中国」という国は①③のスキルは高いとのことだが 肝心の②が悪く そのため「精度の低いチップ」となっている 2025年までにアメリカ等に追い付こうとして 様々な手段を講じている 十数兆の巨費を投じて半導体生産企業を2万社立ち上げたり 一時世界を席巻しAppleを抜いて世界シェア2位まで上り詰めた「Huawey(ファーウェイ)」という携帯企業だが 中国が2010年代後半に作り上げた法「中国国民は世界中でキャッチした様々な情報を当局に報告しないと罪となる」法によって ファーウェイ携帯は「中国のスパイ携帯」として指定され いくら5Gの基地局をガンガン立てようが 値段を安くしようが売れなくなった 当然アメリカでは使用禁止 加えてチップも供給しない それは日本でも同様となり IC先進国はファーウェイを買わなくなった

アメリカと取引のある「トヨタ」の社員の一人でも ファーウェイ携帯を持ち込んだら 国外退去 というより入国できない

 

前々回の記事の終わりの部分で書いたが「2nm回路」をどの国が最初に生み出すかが 軍事・経済・科学・宇宙開発・自動車の自動運転 ともかく電化に関わる全てのテクノロジーの覇権を握れるかどうかの分れ目なのである 現在の自動車にも150以上のICが組み込まれ スマホには50以上組み込まれている IC抜きでは何もできない世界に変わってしまった…

 

現在「2nm回路」生み出す可能性がある国は 主に3国 アメリカ 日本 台湾である

台湾は「近いうちに4nmのチップを作る」と発表しているし Appleが作り出そうとしている最新の「M3」チップは3nmの回路になる と言っている

中国がいかに台湾に執着しているのか このことでも分かる

 

既にロシアは「核弾頭というこん棒を振り回すだけの巨人」でしかなく 破壊力はあるものの その目を精密に射貫かれれば それで終い。優れたIT技術を持っていれば 戦略核だろうが マッハ10で飛んでくるミサイルだろうが 上空で撃ち落とせる。中国もまた「革新」が起こらぬ限り 今は2nmプロセッサーは作れず 国費を傾けて立てたIT企業の4000社以上は既に倒産の憂き目に遇っている

 

だからITに纏わる事柄は「西側」「東側」の水面下の大戦争であり 何としても盗まれてはいけない技術だとわかる

kei