kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

エデンの「法」② ‐H.Boschの壁画‐

天地創造三日目の大地、海、植物の創造時で、まだ人間は誕生していない

不思議な絵だ。天動説か 地動説か…よくわからない地球

この絵の作者も前記事に載せた絵と同様ヒエロニムス・ボッシュである

興味ある方は 快楽の園 - Wikipedia 

お読みいただければ…良いかと思います

私なりに手短に解釈すると 3枚繋がりの宗教画は教会に展示されることはよくあったらしいが 教会に飾るほど「快楽の園」は品が良くない

①画面左は神を中心にアダムとイブがいる

②画面中央はアダムとイブを祖として人間世界が生まれるが 快楽的かつ性的で 幻想的な動物や倒錯的・背教的な表現も見られる

③画面右は「地獄」である それもボッシュ独自の表現が際立った傑出した絵

「樹幹人間」と「耳の戦車」

と とりあえず名付けられている場面でも性的な表現が見受けられ「耳の戦車」はその典型に見える

 

wikiではこの壁画の主題は「性に耽溺し現実を見失った者達への戒めである」といったような解釈が見られるが 私はなぜかそうは思えない

 

私には「人間が持つどうしようもない宿命」もしくは「人類の起承転結」のように見えるのだ

 

普通 教会に飾られる三面画の最後(向かって右側)は「最後の審判」が描かれることが多いようで その代わりとしてボッシュは地獄を描いた なのでこの絵も奇妙だが一応「宗教画」ということにしよう。 そう考えたから500年以上に渡り存続し続けた

でもボッシュが描いたのは宗教画ではないと思う

一番初めに載せた「天地創造三日目」のように 「単に時間経過」を表現したのではないか? とすれば3枚目の地獄も本当に地獄かどうか疑わしい ボッシュにとっては「最後はこんな風になる」と あっけらかんと描いたのではないかと思う

「アダムとイヴが地上で暮らし始めた時点で 最後の絵も決まっていた」

そう言いたかったのかもしれぬ

愛を否定せず 快楽や性的交わりも否定せず 倒錯も否定せず 地獄的終末も否定しない むしろ3枚目の絵にこそ ボッシュのユーモアが遺憾なく発揮されている

だとすれば ボッシュは「本当の法など人の中には存在しない」と言いたかったのかも知れない

中央の絵は「現代」を見事に表現している

kei