kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「スキゾフレニーとパラノイア」

当時27歳の浅田彰が書き上げた「逃走論」は 20歳頃の私には衝撃的だった

「日本人の未来」が記されている気がしたから

この書には2つの言葉が頻出する 

パラノイア(偏執狂)=特定の価値観や立場・見方に固執する 定住志向型 

スキゾフレニア(統合失調症)=型と物事に固執しない 逃避・迷走型

 

ヤフー知恵袋にこのような問答があったので紹介すると…

Q
あなたはスキゾフレニーですか? パラノイヤーですか?
スキゾフレニー・・・気分屋。引越し好き。一匹狼。運まかせ。いきあたりばったり。ワイルド。
パラノイヤー・・・日本人に多い。定住する。その道一筋。頑固。協調性や家族愛を重んじる。過去を引きずる。
俺はスキゾフレニーに憧れるパラノイヤーです。

A
私はどちらでもありません。
スキゾフレニア(schizophrenia), パラノイアparanoia)ともに精神病です。
人間には性質として、どちらかの疾患に似た状態があるかもしれませんが、正常な人間では、あなたの列挙されたどちらの性質も現れうるのです。つまり精神的に正常人間はあなたの列挙した、スキゾフレニー、パラノイヤー両方の性質をもちうるのです。
どちらかに顕著に別れることは精神疾患以外ではまずありません。顕著に別れていれば、それこそ分裂病(スキゾフレニア、シゾフレニア、シゾフレ)や偏執症(パラノイア)になってしまいます。また顕著に別れていたとしても、あなたの列挙するようなもので、スキゾフレニアやパラノイアが診断できるわけではありません。

 

これらの問答を見ると Qの方は「逃走論」を読んだ方で Aの方は医者等病院関係の人 という感じがする

Aの言う通り これら2者は医学的には「精神病」ということになるが 浅田はそのような意味で用いたのではなく 傾向・類型として2者を挙げ そのためQに近い感覚で「逃走論」を書たのだろう かといって 全く精神病の世界と切り離されているというわけでもなく

実際 昨今起きる殺人事件等の根底にはスキゾフレニアかパラノイアが関係しているかも知れぬ


逃走論の主論は「パラノ型人格の多い社会から スキゾ型のタイプの人間が増え 変貌していく」こと。 1984年にこの本が出版された頃より社会はそのように動いた なので浅田の予想は当たっていたと思う 

それが「おひとり様化」「終身雇用の終焉」から「子育てにおけるネグレクト」までつながっているやも知れず

「良い」「悪い」という判断基準で考えるのではなく 川の流れのようなものであるのだろう

私自身を振り返る時 「病的」とはいかないまでも スキゾフレニーの要素を少なからず持っている気もし 家族や子を持つ者として それをある程度抑制している部分がある気もする

私は動物とは暮らしたいが ローンを組んでまで「家」を持ちたいとは思わない

いざという時 身動きできなくなる自分が怖いのだと思う


精神病としての観方としてよりも「傾向」として この2点の切り口は今後も日本社会に影響していくことだろう

kei