kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「桜並木と極楽鳥花」

移転後 片付けで大混乱と家人と大ゲンカを度々してしまう

ケンカの話は後半にして 「整理と片付けと買い物と物の配置」その他諸々を並行的に行うと「ヘンな疲れ」がやってくる それは沖縄での移動準備段階である数週間前から今まで続いている どこに何を置いたんだか…ワカンナイ。それが同時に数種類もあるため 自分の記憶力に呆れ 癒しに外に出る

建物の「目の前は川」

側道はランニングと散歩コースとなっており 朝6時から10名以上の人が往来している

両脇に植わっているのは主に「桜」 今は葉桜の季節 川の水と木陰で日中の熱さを和らげてくれる でも…ひねくれ者の私は感じる 中央の道はアスファルト そして樹を挟んで横はコンクリート。 なので桜は「人の手で鑑賞のために植えられ 狭い土地で根を張っている」ことになる 桜にしてみれば「愉しくない場所に植えられた」と感じてるんじゃないだろか…

浅い川というわけでもないだろうし 増水すると相当水位が上がるとお隣さんが言っていたので 川に手を入れられる程近づくことができないよう「進入禁止鉄柵」が施されている

鉄柵のせいで 川縁は当然として そこまで至る「草ボーボー」のところも入り込み 歩けない だから「野草・雑草生え放題」 私は桜よりも草ボーボーの方が好きだし 見ていて飽きない 写真では判別しにくいが4羽の小鴨が木陰で休んでいた

画面やや左上にいるのだが…わかりにくいかもしれない

この場所に入り込めるのは おそらくは「市や区の草刈りをする人」くらいだろう

それも この見た目では 頻繁ではない だから柵のおかげで自然が保たれていることになる 

「人間が足を踏み入れられない場所」は大切だし 美しいと私は感じる

 

家人は「桜並木派」で「常識派」の部類だと思う ぞうきんを食卓に置いたら「一体どういう常識してる!」と叱責された その時私はキレた…

「おまえのいう『常識』ってのは どこの常識だ? そもそも常識ってのがそんなに大事なモノか?」 私は非常識であり 無分別型の人間だと自覚しているし それで損をしたり 他の人から顰蹙を買っていることだろう けれど「日本の常識が世界の常識であるわけがなく 喜怒哀楽も苦しみも様々 人は抱えている」だから 世界の常識というものを考えると 一体何が常識なのか わからない。

 

私は「常識家」の有難いことも知っているが 嫌悪レベルまで感じることがある。

 

例えば 支援学校で 自閉症の子に「私の目を見て 逸らさず話しなさい!」という先生がたまにいる これは当人にとって「拷問」である。

中学部の頃担任として可愛がり高等部に送り出した女の子がいた ダウン症で笑顔で登校してくる そして両手で抱きかかえられぬほどの「極楽鳥花(ストレッチャー)」をしょっちゅう持って来て玄関で出会う 私は感謝し受け取り 他の教室に配ったりしていた その子はシャイで温和で イジメられてポロポロ涙を流している時 その理由を聞いても答えられなかった もしかしたら「怒りや憎しみという感情を持っていないのではないか」と思いはじめ 追及することは止め ただ涙を拭うような行為に徹した

高等部に入るとその子は「正当な理屈でやりこめるのが得意な 女性教師」が担任となった… 極楽鳥花を抱えている間でも その子に向かって 玄関で詰問したり 叱ったりしていた 学部も違うし口出しも出来ない若造の私は見ていて胸が痛んだが 間に割り込めなかった これが強い後悔となる。女の子はどんどんやせ細っていき 1学期の中盤頃からポツポツと休み始め 2学期には入院し学校に来なくなった

ダウン症の子は一旦体力が低下すると 治るのに時間がかかる 何倍もの日数がかかる場合も少なくない だのにその教師は彼女が学校にくると大体叱り続けた。それは「常識について教えていた 正しいことを教えていた。厳しい語調で。」

その結果は彼女の高等部卒業後の死だった

私は彼女を殺したのは あの担任だと思った

報せを聞いてご自宅に赴き 優しい 極楽鳥花を広い畑で育てるお母さんに家に入れてもらい 中学部時代の話をしたり 彼女の高等部での変調の話を聞き 最後にお母さんの「せめて成人式まで生きていてほしかった」という涙声と顔を見ていた 支援学校でも卒業生の成人式を行う そこに彼女はいなかった。

家人と口論している時 突然この話が口をついて出た。「常識が人を殺すことがあるのを知らないだろ!」と怒鳴った ハナから「常識は善」だと思い込んで ”常識、マトモ、普通”とエラソーに教えているヤツが 無辜な少女を殺したんだぞ! クソくらえだ!

その後2人共 対話を止めてしまって 夜まで顔も合わせなかった

この花を見るたび 彼女「なぎさ」を思い出す まだ…痛くなる

 

パーソナルスペース? 類種ハラスメント? 正しいことが多いかもしれない

でも「自然か?」と自問すれば どうなんだろう…

 

kei