kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「爛熟」

回転し繰り返す様式の三角形 「スタンダード⇒成熟⇒爛熟」と前回の記事で書いた。

「爛熟」でなければ「高度な技術の割には虚無的」と言い換えてもいいかもしれない

レオナルドがキリストから光輪を取り去り 

ミケランジェロが 人間の肉体の美しさを具現化し「人間至上主義」を掲げ それらは「マニエリスム」の模範となった

マニエリスムに対する 私の個人的な捉え方は「反もしくは非宗教性」にあると思う 題材はイエスやマリアだが 意図は反して 個人的で煽情的でさえある

前の記事 パルミジャニーノの「首の長い生母」を再度見て頂くとわかる 聖母の乳首が勃起している 当然幼子イエスには光輪は無い 1535-40年の5年間にわたり描かれたこの絵は 作者の死 という未完で終わる この若きハイテクニシャンの人生は 37年間だった

23歳頃の作品でもこの巧さ

『凸面鏡の自画像』1524年頃

意図的に歪ませたこの絵の最も印象的なのは「異常に大きく描かれた手」だと思うが 「これは右手か左手か?」と作者は謎かけをしているのかもしれない。鏡映なので「左手」であることがわかる 20代初期にして 彼はマニエリスム的だった

 

その時 その時代には様々な方向性がある マニエリスムの反宗教性も一つに過ぎない

 

「ビーナス誕生」を描いた 優美を持ち味にしていた「ボッチチェリ」は後年 サヴォナローラキリスト教原点回帰の言葉に影響を受け 優美さは失われ「古典的で硬い 元来の線の美しさ 色気を完全に失った絵」を描くようになり 別人のような晩年を送る…かようなベクトルもあっただろう

ただ「万葉集」「古今和歌集」「新古今和歌集」という三つの和歌集が三様式の典型であるように「乳首が勃起した聖母 神の子イエス股間を見る天使 神の代弁者の聖ヒエロニムスは右下に小さく描かれ 何か叫んでいるが聞こえない」を描くことが許容され あまつさえこの絵がトスカーナ大公国のフェルディナンド・デ・メディチ (大公子)の注文であったことを考えれば 「当時の貴族の道徳観」は推して知るべし…かも知れない

 

では 大局的に見て「現代」は 三様式のいつなのか?

 

自由主義」は欧米及び日本・韓国・台湾などの 西側先進国であろう

全ての国がそうであるわけがないので

世界の各国々 様々な地域の「三角形の回転の様相が異なっている」と推し量られ

それが争いを生む要因の一つなのかも知れない

 

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