kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「月のめぐり」 谷川俊太郎

吉本隆明は「日本でプロフェッショナルだと言える詩人が三人いる。それは田村隆一谷川俊太郎吉増剛造だ」 

吉本隆明の挙げる現代の三大詩人2人目「谷川俊太郎」の詩を載せる

なぜ男性である彼がこんな詩が書けるのか…私には不思議でならない

「詩のベストセラーをつくる」「詩人のプロになる」と宣言した 谷川の一面

 

 

月のめぐり menstruation


1

 
ひとの中で誰かが祭りのための料理をする ひとの中で誰かが見知らぬ息子を彫刻する 
ひとの中で誰かが怪我をする


 
神の掌

創ることに不器用に傷ついて 今もそれを忘れかねている

 


〈こんなに規則正しく 私の中で華やかな葬いがある 祝いの色で悼まれるものたち 傷つくことも死ぬことも出来ずに無へかえつてゆくものたち 私の若すぎる子供たち・・・熟れた月はおちてくる 誰もそれを受け止めない 私は待つ 私はひとりで冷たいところにしやがんで待つ 月に種子をまくものを 満ちた潮を奪うものを もう誰の思い出かも解らぬ私の中の傷をいやすことができずに〉

 



・・・・・・生きようとするものを岸の方へいざないながら ひとの中に潮が満ちる 
ひとの中に海がある 月の呼び 月のめぐるまま ひとの中に終わらない暦がある・・・・・

 

月が無いと地球は8時間で自転してしまい 現在のような生命はいなかった