kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「受付嬢の気持ちがわかった」

個展初日 20数名の入場者 顔見知りの人も 知らない人もいた

初めて出会う人々との会話もいいものだ…

途中 ニコチンが切れた時は 同居人が来てくれたので助かった

絵を見る人の様子を見ていると 面白い

ゆっくり全部見る人もいれば 半分程度見て足早に出ていく人もいる

特に面白いのは その人がじっくり見る1枚が その人ごとに違う事

夕刻 一人の30代の女性が入ってきた

その人は

これら3枚の右側の渦の絵を3分から5分 見る角度を変えたりしてと長々見ていた

その様子を見て 私は

「何かありましたか?」と尋ねた

すると女性は

「どうしてこの絵キレイなんでしょう。不思議なんです。」と言った

私は「けっこう適当に描いたんですけど…」とバツの悪そうに答えた

見知らぬその女性とその後も10分程度話した 服飾関係の方かと思われた

 

女性が帰った後 私は嬉しかった 

入場者が多いことが 一番嬉しいのじゃない

一つの作品を何分も見てくれることが嬉しいのだ

絵など所詮「絵」 TVやYoutubeのほうが面白いし それを観に足早に帰りたい

絵画展 とりわけ「個展」など これぞ!という絵がない限り

私は入ってもすり抜けるように出ていく

それを その女性は私の絵に3~5分の時間を割き 黙ってじっと見てくれた

 

予想通り受付は眠くなる ダルいが こんな瞬間に出会う事が出来れば

やってよかった と思う

なぜか 私が思う自信作に着目する人はあんまりいない でもいい

 

kei