kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「無用の用」

紀元前300年中国の「荘子」の言葉

一体何を言っているのかわからない。 当人が述べた白文は

「人皆知有用之用、而莫知無用之用也」

これを和訳すると

「人は皆、有用の用を知れども、無用の用を知るなきなり」となる

荘子のこの思考は 更に遡ること300年「老子」の言葉にも顕れている

一見何もないように見える空白の空間に着目した上で、その存在の重要性を説き「形あるものが役に立つのは、形のないものがあるがゆえだ」

似ていると言えば似ている

 

現代社会で最も有用なものは?と問われれば8割方「カネ」と答える気がする

そして大金持ちに有用なものは「力」即ち権力だろうか…

お笑いの松本人志氏の「俺の子産めや!養育費はちゃんと出す」というセリフは 今の日本では好ましくない というだけで途上国ではけっこう当たり前の話 財力と力があれば 沢山の女性を囲い込む…現在も世界のアッチコッチ戦争が起きていて 松本氏のような言動がまかり通っているところを見ると

「世界はまだ善悪や是非ではなく 単なる力学で動いている」

しかしこれは「有用世界の話」

本当に有用なのは 老子の言葉通り「空間」であったり 「空気」であったり 「太陽の光」であったり 見えなかったり 当たり前にあるので認知されない

 

荘子の「無用の用」は荘子の言葉や意図を超えて 不可思議にして絶妙である

 

私の部屋の中にゴチャゴチャにある絵具やキャンバスも 抜けた毛も 使い終えたスプレー缶も 「用なし」かも知れぬ

但しその前に「有用とはなんなのか」「無用とは何なのか」個々人で再考する余地がある

ピカソのアトリエは広かっただろうが わけの分からんモノだらけで 小石や貝殻その他諸々転がっており さなからゴミ屋敷だっただろうと思う だが その中から「牡牛の頭」という傑作が生まれている

なので このような状態とスレスレなんじゃないかと思う

 

kei