kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「近親婚・近親相姦」

2021年05月20日記事

「性差別を無くそう。性の自由を尊重しよう。」という風潮はイスラム教圏以外では「当然として認められる自由」という方向に向かっていると思われる

では「近親婚」及び「近親相姦」はどうだろうか・・・認めるべきか否か 

いずれこの問題は またも「言語化」によって将来 浮上してくる問題であると予想される

ネットで調べ 過去の歴史を辿ると

馬に乗っているバルタザールは、フェリペ4世とフランス・ブルボン出身の姫との間に生まれて健康に育ち、オーストリアハプスブルク家の従妹と婚約していた。ところが16歳という若さで急死、死因もはっきりしていない。他に男児がいなかったため、4世はやむなく息子の婚約者だった自分の姪と結婚する。異様な伯父・姪婚はこれが初めてではなく、祖父のフェリペ2世も同様だった。

16歳という若さで急死した ディエゴ・ベラスケス作《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》1635年

ちなみにスペイン・ハプスブルク家の血族結婚については昔から遺伝研究の対象になっていて、しゃくれた顎や垂れた下唇などが特徴と言われいる。本展出品作のフェリペ4世とカルロス2世という親子像にも顕著にみられ、また近年スペインの大学が近交係数を発表した。カルロス2世の近交係数は0.254という驚くべき数値。なぜなら、赤の他人同士の間に生まれた子なら、0。親子きょうだい間に生まれた子は、0.25。それよりも大きい数値……。

しゃくれた顎や垂れた下唇などが特徴のフェリペ4世 ディエゴ・ベラスケス作《狩猟服姿のフェリペ4世》1632-34年

フェリペ4世と再婚相手との間に生まれ、王位を継いだカルロス2世 フアン・カレーニョ・デ・ミランダ作 《甲冑姿のカルロス2世》 1681年
このようにスペイン「ハプスブルグ家」は親子間の近交係数よりも高い数値で近親婚を繰り返した血統であり「このような近しい関係での婚姻が繰り返された結果、カルロス2世は4歳まで喋る事が出来ず、8歳まで歩けない程に病弱であり、先端巨大症により顎が巨大になり咀嚼に影響し常によだれを垂れ流していた。長くしゃくれた顎は「ハプスブルクの顎」と呼ばれ、ハプスブルク家の出身者に多くみられる身体的な特徴」とのことで、近親交配が原因となって王家は滅亡した。他にもフランス王朝ブルボン家なども近親婚による弊害によって「百年戦争」を引き起こす要因にもなったと言われている。

ここで疑問が残る  なぜ「近親婚が行われるのか」

「血統や財産を守るため」日本を含み世界中のどの地方も行われてきたことだが「それが目的」と判じるのはいささか浅薄であるように思われる

そのヒントの一つは G,マルケスの「百年の孤独
初代の夫婦から「いとこ同士」という間柄で 百数十年後 嵐の中で一族が滅びる時も 当人たちは自覚することなく惹かれあい「叔母と甥」という間柄で結ばれ 豚の尻尾の生えた赤子を産み落とし その赤子の死体が蟻に運び去られることで物語は終わる

なぜ惹かれ合ってしまうのか 

この作品の場合は各キャラクターの生き様が強すぎる 美しすぎる 正直すぎる 自由過ぎる 才がありすぎる そしてその点で皆「独歩型人間」であるため 生物としても人間としても弱く 見劣りのする血の異なる他者が入り込む余地など無かったのだと思われる
つまるところ どうしようもなく 同族以外愛せなかった

この小説が人間本質の「黙示録」的役目を果たすとするなら 現在もなお近親相姦は増え続けているだろうと推理するのが自然である
ただこればかりは現代のところ「社会が認めていない」ため 表面化せず数値化もされていない

私はハプスブルグ家を例に「劣性遺伝」を引き起こす等の理由で 近親婚や近親相姦を否定しようとは思わない G.マルケスが描く世界のように「どうしようもない」という側面も否めないから
もちろん合意の上であれば裁かれることでもないとも思われる(イスラム教なら許されないが)

ただ コロナ禍を契機に増加傾向であることは 薄っすら見て取れ
なのでいずれは 世界中で問題提起される事柄であろうかと思う

貴方はその時どう思われるだろうか 
そして今 その最中の「愛し合い悩む男女」をどう思うのだろうか・・・

kei