kei 「蜘蛛の糸Ⅱ」

2023年3月退職 後の生と死を「絵と言葉」で考えたい…4月からは「画家」か?「肩書を持たないただの人間」として生活していこうと考えています。

「受験生を教える夢」

さっきまで見ていた夢は 公立美術大学を目指す1人の若者を教え 何故か受験当日の実技試験までそばに立ち会うことができ 横でガーガーと指示できた

その少年は 以前担当したことがある「典型的なADHD(注意欠陥多動性障害)の若者に似ており 描く絵も殆どロクに考えていず 受験だというのに「クレヨンは使うわ トイレットペーパーの芯やら エルビスプレスリー腕から下がっているような チャラチャラ光る房ま貼り付けているぶっ飛んだ絵だった」

まるで小学校低学年が好き勝手 自由気ままに描いた絵だが バカっぽくもパワーというかエネルギーに満ち溢れていた

なので 数日後「合格」という通知がきたが なぜかその紙だったか後日 全受験者の試験をやり直すという通知が来た

仕方なく 再度受けることになったが 作品は全く良くなく 「コレじゃダメだ」と言ったら その若者は風呂敷みたいなものから30枚くらい描いた絵を出してきた 力のある絵だったが 幼稚で 何よりも未完成の絵ばかりだった 

時間が刻々と進む中 なかばイライラしながらその中で最もマシな「夜の海で空を飛んでいる猫」を選び出し そこに月と海面に写った月を描き込んで完成させろ といったら 本人は画材道具を一切持ってきていなかった それに更に腹を立てながらも 試験官から絵具を借り いざ完成させようとしたら その絵が数多くの絵に混ざり込み 見つけることができず 時間終了となった

手直しも出来ず 画材も持って来ず 常にヘラヘラしている若者に対し「今回の絵じゃ多分 不合格だろう だからもう教えることもないし これでお別れだ」と私はガッカリしながら言い別れを告げた

そして目が覚めた

 

私は本当に声に出して「このっ。バカ野郎!」と小さく叫んだ

その相手は自分自身だった

 

彼の絵は「アカデミック」ではなく 到底美大に入れるほどテクニックは持ち合わせていなかった 美大の受験は「アカデミックなテクニックの競争」であり それはピアノの巧さに似ている

彼の絵はそこからてんで外れていた でも 私よりもずっと力強かった 学ぶのは彼ではなく私だった 彼の自由さ 破天荒さを学ぶべきだった…

明日から 美術の授業が始まる 私は「アカデミー的テクニックは教えまい」と思っている(美大指向の生徒なら別だが)

彼の絵はマルク=シャガールの こんな絵に似ていた

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